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大学教員として生きる道

著者は私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

国際学会に参加する意義

先日,国際学会に参加してきた.

学会に参加した目的は,1)自身の研究発表を行う,2)世界の新しい情報を得る,3)国内外の専門家との交流,4)訪れた国の風土に触れる,などであった.

 

私は今までに国際学会で何度か発表してきたが,自分で言うのもあれだが,発表自体にはそれほど問題ないと感じてきた.英語力の問題もあるのだが,発表は原稿を作成して練習をしていれば何とかこなせると感じる.しかし,問題は発表後のディスカッションタイムである.最近の傾向として口頭発表はディスカッションタイムが長くとられていると感じる.ネイティブとの議論で研究の詳細について,質問の意味を理解し的確に回答することが求められる.しかし,この質問の意味を理解することがなかなか難しかったりする.文化的な背景が異なったり,英語になまりがあったりするとなかなか理解しづらい.特に今回は,マイクの話し声がスピーカーを通して会場全体にはいきわたるが,舞台には届きにくく,発音が聞き取りにくく感じた.いや,しかし,そのような状況でも的確に英語を理解することは求められる.語学力アップについては別の機会にまとめたいと思うが,多くの日本人にとって国際学会での発表は英語力が一番問題となることは間違いない.

 

特に私が専門とする分野では,北米,欧州,豪州が進んでいる.進んでいるというよりは,研究にかける予算が,わが国に比べると一桁,いや二桁ぐらいことなる.私が科研費で何百万円かで行っている研究を,数千万~数億はかけているという印象は受ける.だがしかし,研究はお金を掛ければ良いってものじゃない.小規模でも新しい視点や大事なテーマに取組むこともできるし,インパクトのある内容でアピールすることもできる.そこはアイデア次第だろうが,国を動かすような巨大プロジェクトにはやはり予算は最重要だ.

 

国際学会に来ると必ず交流の場が用意されている.立食形式の休憩所でコーヒーブレイクの時間が設定されていたり,特設会場でディナータイムがあったりする.そのような場面で,海外の研究者と名刺交換をしたりディスカッションすることは大変有意義だ.また,国内の研究者とも国際学会でより密な議論をすることもできる.せっかく国際学会に来ているのだから,国内の人とばかりつるまないで,海外の研究者と交流するべきだという意見もあるだろうが,国内の研究者と交流を図りチーム日本としての結束力を高めることも有意義ではないだろうか?

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最後に訪れた地域の風土に触れることだが,学会には出張できているので仕事をしている以上,学会会場とホテルの間しか行き来してはいけないということが理想なのかもしれない.しかし,空いた時間に観光に行くことは許されるべきであろう.そこに住む人々の暮らしや歴史,文化に触れることは絶対的に必要なことだ.そうでなければ,WEB会議でも良いし,論文だけ読んでいれば比較的新しい情報を手にすることができる.国際学会に来ている以上,その国の文化や風土に触れ,自身の研究とのつながりや各国の情勢などぼんやりと考えることも必要だと思う.

 

人間の思考回路は同じ環境にいては,段々と固定化してくるように思う.新しい環境や人との出会いなどの刺激を受けて,それを今までの自分の思考と組み合わせることで,アイデアを成就させ次の研究に取り組むことが有効だろう.そのように考えると国際学会への参加は大変有意義で年に何回かは海外に出かけられることが理想だと感じる.