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大学教員として生きる道

著者は私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

4月1日,科研費 勝負の明暗!

 

大学に勤める研究者にとって,数年に1回の4月1日は勝負の明暗がはっきりする日だ。

昨年度の秋に申請した科研費の採択結果がわかる日だ。

小中学生の通信簿のような意味もあるし,この先数年間の見通しが立つかどうかの目安となる。

 

私は大学教員になって,8年経つが今まで1年だけ科研費が途絶えた時がある。その時は本当に悔しかったし,民間の研究助成に応募して何とかしのいだ記憶がある。

 

昨年、夏に申請書のアイデアを考えている時と科研費申請時期にこのブログ記事で下記の内容を載せた。

 

shiranaitoson.hatenadiary.com

  

shiranaitoson.hatenadiary.com

 

今回の採択によって向こう3年間の見通しがついた。

 

教員になりたての頃は,自分の責任に基づき研究を進行できる喜びを感じていたが,ここ最近は採択された嬉しさと同じぐらい,採択されたからにはやらないと,という責任感の方が大きくなってきたように思う。

 

科研費に採択されるにはいくつかポイントがある。

1.研究業績が十分にあること

2.研究業績が研究計画と合致しているかどうか

3.研究計画に新規性や発展性があるかどうか

4.研究計画を遂行する環境が整っているか

5.審査員がこの研究にお金を費やして良いと思えるかどうか

 

そのようなところだろうか?

私が在籍する部門では科研費の申請をしない教員もいるし,申請をしたけど不採択だった教員もいる。或いは,私なんかよりもっと大規模な予算を獲得して,大きなプロジェクトを進行させている教員もいる。

申請しない教員には科研費に採択されると,余計な仕事が増えてしまうという人もいるかもしれない。科研費の数百万円の予算など学生(親御さん)が大学に支払う授業料に比べると安いものかもしれない。学生一人が退学すると大学4年間で換算すると,大学に入る予算は基盤Cに匹敵するぐらいかもしれない。そのように考えると,科研費の採択を受けて研究を行う以上に学生ひとり一人を満足させる教育が必要かもしれない。

 

しかし,科研費の採択を受けるということは,他大学の審査員が研究計画に対して太鼓判を押してくれたことだろうし,研究費を使って研究を推進させること,論文を発表したり学会発表をすることは,大学の価値を押し上げることにも役立つし,教育の質を高めるためにも必須であると思う。

 

私が勤めている大学では,科研費の採択者に対して奨励金という形で自由に使える予算が30万円/年つく。これは意外と大きく,直接経費では購入しにくいものなど研究環境を整えるために大変役に立つ。隣の国,韓国では国の助成金の採択者には最大で給料が1.5倍まで増える制度があると聞いたことがある。

わが国でも,一所懸命に研究を行い成果を出している教員には給与を高くして,そうではない授業しかやらない教員の給与は少なくするなどの給与計算も必要ではないかと思う。

研究費は税金の一部なので,この予算を使って国民の役に立つ研究をしなければならないし,その重責に応えられるだけの努力をしなければならない。

何はともあれ,幸先の良い平成29年度のスタートだ。じっくりと取り組み,お世話になった方々の恩に報いることができるよう頑張ろう。