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大学教員として生きる道

著者は私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

図書館を利用せよ!

研究や勉強が進まなかったら図書館へ行こう.

 

私は以前勤めていた大学で図書委員を行っていた.

大学の教員が図書委員で何をするかって,それはもう図書館の運営そのもので,どうやって学生を図書館に来させるか,どうやって図書の貸し出し冊数を増やすのか,あの手この手で考える委員会であった.図書館を利用する側の立場では,図書館の職員って融通がきかないなぁとか,もっと貸し出し冊数と日数を増やしてくれたらとか,文献複写をもっとスムーズに早くやってほしいなとか,要望ばかり感じていたが,運営する立場になると,図書館の運営にそんなにコストかけているんだとか,古い本を処分する手続きだけでも簡単にはいかないんだなあとか,何で学生はもっと図書館を利用しないのかなとか考えるようになった.

 

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やる気がない時でも,図書館に行くと必ず一所懸命に勉強している人がいる.そのような人をみるとやる気になるものだ.心理学ではモデリングといって,自分と同じような境遇の人の行動をみると自分にもできるのではと思えてくることを言うらしい.

そして,図書館の個室や学習机で論文を書いていると,そのようにしている自分ってなかなかイケているのではないかと思えてくる.そのような状態になると占めたもので仕事が随分はかどる.

 

研究者にとって論文を書くことは重要な仕事の一部だが,なかなか文章が進まないときもある.一日一文章を書くと年に何本もパブリッシュできるのだろうが,私は論文を書くときにまとまった時間がないと思考ができない.また,頭の中で論文を書くスイッチを入れるのに一苦労でそのスイッチが何処にあるのか分からなくなったり,スイッチがすぐに入りにくい.パソコンで言うと何年も使い古していて,起動させてからスムーズに動くのに時間が掛かるような感じだ.だからこそ,ウォームアップが必要で研究の環境を整えることによって,脳がスムーズに働き始める.似たような感覚を持つ人もいるのではないだろうか?

 

今は文献検索は随分楽になった.20年前と比べると雲泥の差で,インターネットの普及のおかげで世界中のありとあらゆる雑誌が短時間で手に入るようになった.逆に情報の渦の中,如何に質の高い論文から情報を得るのかが研究を進める上で重要なテクニックとなる.そして便利に情報が手に入るようになったからこそ,図書館の存在意義として学習環境の場を提供することが重要ではないだろうか.そうであるならば,やる気が出ないときこそ,図書館を利用して自分に鞭打って頑張って勉強するのだ.

 

 

 

 

 

研究者の実力は論文の本数? それとも論文の内容?

大学教員を目指す大学院生,PDにとって論文の本数はとても重要だ.

博士号を取得するために,学術雑誌へのアクセプトが条件になっているケースもあるし,最近は,英語論文でのアクセプト2~3本が博士号の条件になっている大学もある.したがって,博士号を持っているということは英語論文が書けるということは当然であるという見方が一方ではあるといえる.大学教員を目指す若手研究者にとっても,論文の本数は多い方が一般的には優秀な研究者であると見なされると思う.

 

私が専門とする分野は自然科学系なので,人文社会学系では同じことは言えないかもしれないが,論文の本数は多い方が研究者として,あるいは教員として高い評価を得るのは当然であると思う.

 

しかし,若手研究者へのメッセージとしてこれだけは勘違いしないで欲しいと思うことがある.論文は人に評価されるために書いているのではないということだ.研究は社会の未解決な事を明らかにしたり,未知な分野を開拓することに意味がある.営業マンが売り上げで社内で評価されるのとは訳が違う.自然科学系の研究者にとって論文の本数を増やすことは簡単であると思う.同じ分野の研究を続けているのであれば,対象者を変える,方法を少し変えるだけで論文が量産できる.このような方法で,研究業績が沢山ある若手研究者はすぐに見抜かれる.大事なのはオリジナリティ,社会的意義,新規性,インパクト,イノベーションを起せるか,などではないだろうか?

 

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若手研究者にとって数をこなすことと研究の質を高めることの両方が必要だが,あえて言うならば数は重要だ.研究者は歌手や画家と似ていると思うのだが,一発ヒット曲,ヒット作品を出すと一躍有名人になるがそのあと続かない歌手や画家がいる.以前,バルセロナピカソ美術館に行ったときに,ピカソが若い頃に描いた絵画がびっしりと数多く展示されているのを見た.絵の内容は,ピカソの有名な奇抜な作品ではなく,ごく普通のスケッチなどが大半であった.そのような多くの作品を描くなかで,ブレークスルーするポイントがあったのだと思う.はじめからオリジナリティが高く,高インパクトな研究はそう簡単にはできない.そうであるならば,1つ1つ確実にこなしていくような取組みも重要だ.その中でブレークスルーするような域に達する研究がなされると思う.

 

しかしながら,これまでの私の経験上,論文の本数が多いからといって大学の教員公募を通過するとは限らないことは伝えたい.大学教員に採用されるか否かという視点ではマッチングが一番重要だと思う.これはもう,結婚と同じで相手(採用する側)と自分(採用される側)の相性が合うかどうかの方がより重要だと思う.極端な話,大学によっては研究に勢力を出すのならば,教育や事務仕事,学生募集に力を注いでほしいと思っているところもあると思うし,一方,研究をしっかりと行い次世代の研究者を育成して欲しい大学もあるからだ.人事の数だけものさしがあるということになるのであろうが,結婚相手を見つけるときに女性が花嫁修業をしたり,花嫁道具を用意するのと同じで,もちろん男性もきっちりと職業につき男を磨かないといけないのと同じで,研究者である以上,研究業績はしっかりと準備しておいた方が良いだろう.その時に論文の本数なのか論文の内容が評価されるのかは,最終的にはお相手となる大学側の判断になると思う.

 

 

  

集中力を高めるために

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集中力を高めることは,研究職に限らずどのような職業でも必要なことであろう.しかし,やらなければいけないことがあるのに,いざ机に向かうとなかなか集中できないという経験は誰でもあるのではないだろうか.ではどのようにすれば集中力をアップさせられるのか.

 

ごく一般的なことを言うと,目標があるとそれに向かって頑張れるので目標を設定して物事に取り組むという方法がある.確かにそれは正しいのだが,今やらなければいけないことと目標が乖離していて実感が持てないこともあるだろう.今集中できないというのは目標設定のみが原因ではないと思う.

私はこれまでに,様々な自己啓発本を読んできた.だが,どの本を読んでも読んだあとはモチベーションが上がるのだが,数日するとまた元の自分に戻っている.どのようにすれば,自己啓発本を読んだ直後のようなモチベーションと集中力を維持できるのだろうか.

 

 

私が集中したいときに行うことを箇条書きにする.

 

1.コーヒーを飲む

  ⇒カフェイン効果で交感神経を働かせる.

2.腹六分目にしておく

  ⇒お腹一杯になると副交感神経が働き眠くなるので,お腹は一杯にしない.

3.坂本龍一の曲を聴く  

  ⇒クラシックでも良いが,ゆったりしすぎた曲はダメ.あと歌詞があるのもダメ.

4.部屋を暗くして,机の回りだけ明るくする.

  ⇒視界をモニタ,紙に集中させる.

5.インターネットは使わない

  ⇒ネットサーフィンは集中力の阻害になる.調べ物もネットは極力使わない.

 

集中するためのルーティンを自分で作ることが大切だろう.大切なのは環境を変えることだと思う.集中できないのには,集中できない理由があるのでそれを取り除くことも必要だ.イチロー選手は打席に入るまでのルーティンが40個ほどあるらしい.一球,一球にかける集中力は素晴らしいものがある.いつでも集中力を最高の状態に持っていけるのだろう.デスクワークにおいても集中するためのルーティンを決めるという点でイチロー選手の行動を見習いたいものだ.

自身の強みを知る

自身の強みを知ることは,弱みを克服する以上に大切かもしれない.

 

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自分の強みって,言われて何となく得意なことを想像してみると,”集中力がある” とか ”好奇心が旺盛” などと思っていた.

 

そこで,「さあ,才能(じぶん)に目覚めようーあなたの5つの強みを見出し活かす」という書籍に触れてみた.この本の凄いところは,書籍に付随されてるアクセスコードを専用Webサイト、ストレングス・ファインダーに入力して30分ほどかけて177つの質問に回答すると自分の強みが診断できるというもの.

 

表示された診断結果は、

自分だけの特徴的な資質

・目標志向

・達成欲

・学習欲

・未来志向

・戦略性

とあった.確かに当たっていると思う部分もあるけど,自分で思っていた強みとはちょっと異なると思った.研究者としてやっていく上では,34個の資質のなかで ”分析思考” や ”着想” などがあった方が適性があるのだろうけど,ちょっと残念.

 

ジョハリの窓(サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセル・ルフトとハリー・インガム,1955年発表)でいうところの,”盲点の窓” (他人にわかっていて自分でわかっていない)領域の能力なのかもしれない.いや,自分で回答した結果なので”秘密の窓”(自分ではわかっていて他人にはわかっていない)領域なのかもしれない.

 

いずれにしても,この私だけの資質を活かしていくことを意識して仕事に取り組もうと思う.

 

 

 

 

 

 

何故,大学教員になったのか?

何故,大学教員になったのか? 改めて自身を振り返るために考えてみた.

 

中学,高校時代はあまり勉強は得意ではなく,むしろ運動部に所属してどちらかというと体育会系の活動が中心.しかし,夏休みの自由研究や工作などはどっぷりとはまるタイプ.

 

何か決められたことを暗記したり,解法のテクニックを覚えることには何故か興味が沸かない.中学・高校時代の勉強はライバルとの争いというか,自身のさぼりたい気持ちに打ち勝つというか,そのようなものであったと記憶している.

 

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大学に入ると好きな分野の勉強ができると思っていた.しかし,授業は平凡,自分で本を読んでいる方が面白いと感じていた.卒業研究では,日頃から疑問に思っていたことに取組み勉強することの面白さにはじめて気付いた.そこがスタートで大学院に進学し研究者になろうと思った.

 

でも,振り返ってみると中学,高校時代にもう少し勉強しておけば良かったと思うこともある.基礎がもっとしっかりとしていれば,今の研究活動にもっと深みや幅がでてくるのではと思うからである.一方では,中学,高校でもっと勉強にどっぷりと浸かっていれば,逆に自分の興味がある分野に偏った独学ができていなかったのではという思いもある.人間ないものねだりで,自分に欠ける能力を羨んだり,後悔したりするものだと思う.

 

ただ,この年齢になって思うことは,自分にない能力を向上させようとしても圧倒的に時間が足りないため,そこに労力を費やすよりも,自分の得意な能力を知り生かした方が効率がよく上手くいくのではと感じる.

 

そこで自分の強みを知るために,ストレングスファインダーという書籍を手に取り試してみた.その内容は次回に紹介する.